7 Days (aka. Les 7 jours du talion)

->imdb:7 Days
拷問描写はただの”掴み”
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Review

娘を強姦されたあげく殺された外科医がブチキレて、移送中の犯人を拉致監禁。恨みを晴らすべく一週間後に迫った娘の誕生日に向けて毎日拷問にかけるというお話。

お話だけ聞くと、外科医による”トーチャー・ポルノムービー”に聞こえてしまう。
たしかにそうだ。外科医のBrunoは、外科医だけに”どこまでやれば死んでしまうのか?”を知っているのだ。つまり、”どこまでやっていいのか?”極限までの拷問が可能なのである。では、本当に拷問メインのいつも通りのテンプレ映画なのか? っというと、そうではないのだ。

彼は犯人拉致時に、自らの正体を明かし

”一週間後に殺す。止めてほしければ、俺を捜せ!”

と、警察を煽る。

ここからして、普段のトーチャー・ポルノとは違う隠し味が効いてくる。

Brunoを追う刑事Hervéは、”半年前にチンピラに奥さんを撃ち殺された男”。

つまるところ彼は、Brunoの気持ちが解るのだ。しかもBrunoに「お前は、お前の嫁を殺した男がただ塀の中に閉じ込められているだけで満足なのか?」と問われ黙してしまうくらい全く立ち直れていない状態。彼は、妻を殺されたトラウマで、家のダブルベッドで寝ることができず、彼の自宅の寝室は、ドアを板張りで塞さがれた開かずの間。彼を本気で捕まえて良いのか、復讐を遂げさせた方が良いのか?鬱々と悩む。

Brunoの計画を全く知らなかった妻Sylvieの心情も複雑だ。
夫からは「今日、俺は犯人の膝をつぶした。明日はお前の望むことをする。望みを言ってみろ」
と言われるが、答えることはできない。しかし、内心は夫の凶行を指示しているようにも見える。

徹夜の手術明けでムラムラしちゃったから、本来送っていくはずの娘を一人で登校させ、彼らが情事に耽っている間に、娘が強姦され殺されたのだ。そりゃ彼ら自身も自らを許せないわけだ。

後半、Brunoの行為をメディアが扱いはじめ、同じ犯人に娘を強姦・殺害された家族のBrunoへのメッセージをTV放送し始める。大半の遺族は、Brunoの行為を否定しつつも、心情については肯定するのだが、「私は全てを無かったことにした。」と曰う母親の登場により急展開。

その遺族の言うことに納得できないBrunoは、犯人に会わせることで自らの憤りを共有しようと、なんと誘拐までしてしまうのだ。

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ちなみに本作、エンドロールに至るまでBGMは全くなし。物語が静かに淡々と展開していく。

また、肝心の拷問であるが、そこそこパンチの効いたもので、外科医ならではの拷問が炸裂する。朝のおはようの小便シャワーからはじまり、膝をたたき割ったあげく、首にひもを括って無理矢理立たせ、チェーンで殴りつける。この程度はまだかわいい。なんとも酷いのは、犯人を人工肛門にしてしまうのだ!

しかし拷問自体は、ただの味付け。基本的には、Bruno自身と彼を取り巻く人々の心情が中心となるため、後半に行くに従ってゴア度はなりを潜め、気がつくと犯人は大流血し、衰弱しているのだが、一体何をされたのかは解らない。

おそらく拷問描写はただの”掴み”で、基本的には心理描写を描きたかったのであろう。

拷問シーンを凌駕する登場人物たちの病的な表情。妻の射殺シーンを録画された防犯カメラを毎晩淡々を見続けるHervéの虚ろな目。片付けても野犬に掘り超され続ける山荘の湖畔に放られたシカの死体。ビールを飲み続けて混沌の海を泳ぎ続けるBruno。そして死体が生き返っただけの娘の幻覚。

もちろん、追跡劇のスリルも存在するが、何のカタルシスもなく、怒りと自己嫌悪がグッチャグッチャに混ぜ込まれた物語は静かに閉じられる。
鑑賞後に感じる不思議な感情。これは一体何なのだろう?

同じフランス・カナダ合作の「5150 elm’s way」も似た雰囲気をもっている。
ちょっとインテリっぽい感じが鼻につく向きには、ちょっと苛つく部分もあると思うが、このフランス語圏カナダ映画の雰囲気。一押しです。

“7 Days (aka. Les 7 jours du talion)” への2件の返信

  1. ピンバック: Paracelsus55の\(^ω^)/

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