Viral | ヴァイラル


ニョロニョロ。

作品データ

2016年 アメリカ
監督: Henry Joost, Ariel Schulman
出演: Sofia Black-D’Elia, Analeigh Tipton, Travis Tope
->imdb

レビュー

 宿主の行動を支配してしまう寄生虫というと、ロイコクロリディウムを浮かべる方が多いだろう。カタツムリに寄生し、その角を芋虫に擬態させて、他の生物に捕食されること促すというアレだ。外見の変化だけでなく、普段の行動も買えてしまうところがコイツのすごいところ。カタツムリは通常、葉の裏で生活するが、ロイコクロディウムに寄生されるとその意思に反して葉の表側に出るようになってしまう。そうすることで捕食者に捕らえられやすくなるというわけ。見た目はキモいわ、食物連鎖には負けるわ、カタツムリにとっては散々である。これが人間にも起こったらどうなるのか。

こいつです

 「Viral」は、寄生虫感染によるパンデミックを描いた所謂「感染系ゾンビもの」だ。しかし、“寄生虫による支配される人格“に着目しているのが少し珍しい。とはいっても先のロイコクロディウムのような劇的な変化や行動支配があるわけではない。感染による凶暴化があくまで寄生虫がさらなる宿主を探すために行っていると説明してくれる程度。しかし、その説明があるだけでも設定に重みが出てくるのが不思議なところだ。

 生物学教師の父とともに田舎町に引っ越してきたエマ。頭の悪い不良と付き合う姉のステーシーのワガママに振り回されつつも、隣人の好青年エヴァンとも仲良くなり、楽しい学校生活を送っていた。ある日、エマの友人グレーシーが授業中倒れ咳と共に大量の血液を吐き出す。エマとともに介抱してた男の子がそれを大量に浴びてしまう。都会では”Worm Flu”という新手の流感が蔓延しているというニュースが流れ、エマの街でも疾病予防管理センターのトラックが巡回、外出を控えるよう放送を始める。父は隣町のスーパーに買い出しに行ったまま戻らず、自宅で暇をもてあますエマとステーシー。退屈に我慢できなくなったステーシーは近所の馬鹿騒ぎパーティへと繰り出す。それに渋々ついて行くエマ。ところがそのパーティ会場に血を吐きながら暴れ回る男が飛び込んでくる。グレーシーの吐血を浴びた男だ!必至に逃げ回る2人だったがステーシーは彼の血を浴びてしまうのだった。次第に感染の兆候を示す彼女をエマとエヴァンは救えるのだろうか?

自由奔放な姉 地味な妹
彼氏も喰う姉 地味で冷静な妹

 感染者は好んで人を食べることはない。ただ宿主体内での繁殖エネルギーの確保のために食欲旺盛になる。また、寄生虫本体は人体から情報を得ることができないのか、体外ニョロニョロと這い出して音の振動を頼りに次の宿主を探す。これが非常に気持ち悪い。さらに感染者が複数で暗い部屋に籠もりお互いを寄生虫で連結している様もなかなか吐き気がする。
 次第に感染が広がる様も丁寧に描かれる。映画の冒頭「いくら食べても腹が減る」と訴えるグレーシーから始まり、家族に感染者が出たことを示す照明弾がボンボンと焚かれ、CDCのトラックはいつしか軍のトラックへと変わる。気がつけば周囲に人気がなくなり、やがて武力による封じ込め作戦が開始される。緩慢に始まった終末が急速に拡大していく恐怖が小規模ながらもよく表現されている。

ここは呼吸穴らしい キモチワルイです

 監督は『パラノーマル・アクティビティ3、4』のヘンリー・ジューストとアリエル・シュールマン。フランチャイズシリーズは生真面目な若手が踏み台に使うことが多いが、彼らは見事、あのしょーもないヘッポコシリーズを踏み台に次のステップへ進むことができたようだ。よかったよかった。

そして世界は? 姉の運命は?

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