The Monster | ザ・モンスター


2016年 アメリカ
監督:Bryan Bertino
出演: Zoe Kazan, Scott Speedman, Ella Ballentine
->imdb
ホラー映画の皮を被った・・・なにか。

あらすじ

リジーは疲れ果てた顔で朝を迎えた。今日は実父の家へと旅立つ日。彼女は継父のロクデナシ男ロンが出ていって以来、母のキャシーと2人暮らし。リジーは母との生活を続けたかったのだが、その思いに反してキャシーは娘を実父のもとに追いやることにしたのだ。早朝の出発のはずが、キャシーが大寝坊したため出発したのは夕方だった。
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なんとも言えない奇妙な雰囲気が漂う車内。夜になり雨も降り出す。深夜12時を回り街灯もない山道を走っていると、車がパンクし大スピン。さらに飛び出てきた狼と衝突、車はポンコツ同然になり立ち往生することになる。そんな彼女達に正体不明の怪物が襲いかかる。レッカー車の男は喰われ、救急隊員も喰われ、窮地に陥る二人。だが、怪物に追い詰められながらも、リジーの心に去来するのはキャシーとの辛い日々の思い出だった。
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レビュー

人気の無い山道で怪物に襲われる親子、助けにやってきた人々は片っ端から食い殺されて入れていく……。べったべたな粗筋は「なんだ、”いつも”のヤツか」と思わせるも、今時珍しいスーツアクトの怪物、雰囲気で誤魔化すことの無い人体破壊描写は非常に好感が持てる。だが、本作の魅力はそれではない。
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本作の中心となるのは、キャシーとリジーの関係だ。最初「ただ仲が悪いだけ」に見える親子関係の真実は怪物との死闘の中、母キャシーに守られながらリジーが思い起こす過去の日々から次第に明らかにされていく。キャシーはアルコール依存症で幾度ともなく断酒に失敗し、そんな母を放っておけないリジーは愛情とも憎しみともつかない想いを胸に日々を送っていたのだ。(余談だがこれは”共依存”といって、依存症患者とその家族が陥る一番良くない状態である)
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酒をやめるという約束をことごとく裏切り続ける母親を罵って、その寝顔に包丁を突きつけるほど憎み、シラフの優しい母親を愛しつづけるリジー。キャシーも娘のこと心から想いながらも、期待に応えられない気持ちに焦り、八つ当たりをしている。彼女達は気がついているのだ。お互い一緒に暮らしていてはダメだと。実父の家に向かうその日、キャシーが寝坊したのはリジーと離れたくなかったからだ。彼女を起こさなかったのはリジーも同じ気持ちだった。
リジーが最期に思い浮かべるキャシーとのやり取りはこうだ。

Kathy: Hey, little girl.

Lizzy: I’m not little.

Kathy: I know. Don’t be mad.

Lizzy: But you said…

Kathy: You don’t hate me?

Lizzy: I don’t hate you.

Kathy: I don’t hate you.

Lizzy: I don’t hate you.

Kathy: You are gonna be so much better than me… so much better. You just wait and see, it’s gonna e amazing. You are gonna get past me…. And you are gonna be able to do whatever you want.

Lizzy: I just want you.

怪物は最期に倒されるが、2人は大きな犠牲を払うことになる。
リジーはこう独白する

「怪物なんていないってお母さんは言うけど、それは間違い。やつらは私達を闇から見ている。見え隠れしながら。」

この台詞は冒頭と最期に登場するが、まったく同じ言葉がまったく別の印象を残すことになる。彼女たちにとって、本当の怪物とはなんだったのか?そしてこの映画はただホラー映画として扱うべきなのか?不思議な印象を残す作品。2017年1月日本公開予定。
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