Chronicle(2012) Director: Josh Trank Country: USA,South Africa
Review
謎の発光体に触れた高校生三人が超能力を手に入れ、楽しく青春を謳歌する・・・っと思いきや、その力は次第に手に負えなくなり・・。っという、超能力ものとしては、古くからあるありきたりな展開のストーリー。しかし、ありきたりなんだけど、やっぱりこういうテンプレートストーリーは安心して楽しめる。さらに、低予算ながらも特殊効果技術は目を見張るものがあり、それを見るだけでも十分価値がある作品だ。
主人公となるのは不幸な星の下に生まれた男の子、アンドリュー。母さんは不治の病、父ちゃんはアル中、学校に行けばジョックスどころか一般生徒からも冷たくあしらわれる存在だ。
しかし、そしてそんな彼を心配してくれる唯一の親友、2従兄弟のマット、そして何故か仲良しになった生徒会長候補者スティーヴ。3人は、ある夜、裏山にポッカリ空いた洞窟を探検していたところ、奇妙な発光体に遭遇する。
手に入れた超能力で、悪戯しまくる3人。アンドリューも超能力を使った一発芸で一躍人気者になる。暗い青春を送っていたアンドリューにも明るい日々が訪れたと思いきや、家庭不和により情緒不安定に陥り次第に暴走していく。
前半の「超能力学園Z」からエロを取り除いた、ガキ丸出しの悪戯の連発から一転、後半はハードな超能力バトルが展開する。これ、予算はそんなに多くない作品らしいですが、まさに大友克洋ワールドの再現を見ることができます。
腕をブンっと振ったら、車がポヨーーーンと飛び、絶叫でビルのガラスが粉々に砕ける。「あぁ、こういうの実写で見たかったんだよなあ!」っと感動すること請け合いです。次第に精神を病んでいくアンドリューとそれを本気で心配してくれるマットとスティーブの優しさのすれ違いも良く描かれており、青春映画としても十分楽しめます。脚本がいいんですねぇ、きっと。
監督は長編作品は、これが初めてとなるJosh Trank。そこそこ下積みがあったようですが、いきなりこのレベルの長編を撮れるということは恐ろしく才能のある人と思われ、今後が期待できますね。役者さんは、ドーン・オブ・ザ・デッドのCJ役をやっていたMichael Kellyがアンドリューのアル中親父役で出演している以外は、殆ど若手。マット役のAlex Russellは、現在制作中のリメイク版「キャリー」でビリー役をやるそうな。