何故かゾンビになってしまった看護師。リッチでクリーミーなアレをガブ飲みすれば元気一杯!
作品データ
2013年 アメリカ 監督:ベンジャミン・ウィルキンス 出演:カーリー・オーツ、ライアン・シューゲン
レビュー
やっぱりPOVでした
観る映画こればっかだよ!汗
冒頭、いきなり自分の頭を銃でぶっ放す看護師のレジーナ。しかし、即病院に担ぎ込まれ一命を取り留める。医者に自分はゾンビだと言い張る彼女はコタール症候群と診断されるのだが、彼女がその診断を否定すべく自分の身に降りかかった災厄を精神科医相手に独白する形でストーリーが紡がれる。レジーナの独白を補完するようにファウンド・フッテージ挟み込まれていく形のPOVとなっている。
コカインのオーバードーズから生還したレジーナは、知らぬ間に何らかの寄生生物(?)により"人の肉(っていうか脂)"を取ることで自身の自然治癒力が高まっていることを知る。恋人のライアンは彼女を気遣いながらも、"人肉"への渇望を抑えられなくなる様を観ているしか無かった。食欲に懸命に逆らうレジーナだったが、食欲を抑えれば体は腐っていってしまう・・・。そして前後不覚に陥った彼女はついに人を手にかけてしまうのだが・・・。
↑例のマークが入った、リッチでクリーミーな人間の脂肪を盗んでガブるゴキゲンなレジーナさん(看護師)
低予算でも超頑張ってます
基本、レジーナとライアンの会話が淡々と続くのみ、またトップのアイキャッチに置いたキャプチャからも分かるとおり、あからさまに金が無いメイクが炸裂している。こんな見てくれなので”お寒い"内容の映画と思われそうだが、なんのなんの、腰を据えてちゃんと観れば、これ、とっても面白い。 監督がTV畑で編集屋をやっていたせいか、リズム感のあるカット割りでサクサクと話が進むし、ゴア描写が殆ど無いゾンビ映画にも関わらず、細かな”それっぽい”小さなエピソードの積み重ねがウマく、ゾンビ映画を観た気にさせてくれる。
プロポーズも済ませ、最初は超ラブラブだったレジーナとライアンが「脂飲んで元気一杯」と、はしゃいでいるだけであったのに、次第に事態が深刻化していく様が日常会話だけで見事に描かれている。 プロポーズされた喜びでライアンの乳を思わずガブってまったり、自分が人間で無い何かに変わっていって言うことに気がついたレジーナが銃を購入しようしてモメるシーン、思わずピザ配達人(何故頼んだ・・)を喰っちゃう場面なんか非常に良く演出されている。
↑ついにや殺っちゃうレジーナさん(※手前のバナナは無視してあげてね!)
同じように女性がゾンビ化していく様を描いた作品に「スリーデイズ・ボディ(※ShoX呪さんのレビュー)」がある。こちらは非常に潤沢な予算で作られ、ゴア描写もふんだんに盛り込んでいるが、本作はそれとは対極にある作品である。ゴアも無ければエロもない。ただ2人の会話と少しの血しか出てこないのだが、見事に同じテーマの映像化に成功している。
ゴア好きな人々からは敬遠されがちだが、僕はこういう作品、応援したいなあ。