namaniku

Awoken

 眠れないというのは、かなり辛い。布団の中で悶々とし続けていると「死んだほうがマシなんじゃないだろか?」と思うほどだ。理由は人それぞれだろうが、大体は睡眠薬で万事解決である。ところが、睡眠薬が効かない病気があるというではないか。
 Fatal Familial Insomnia(致死性家族性不眠症)略してFFI。この映画で初めて知りました。ざっくり言うと、脳幹から出る”寝とけ!”という命令を体が受け付けなくなるそうで、分類的には異常プリオンによる認知症的な病気だそうな。最終的には気が狂って死ぬそうで、「なんと恐ろしい病気か!」と震え上がりましたよ。さて本作は、不眠症と悪魔憑依をくっつけたお話です。

『Getaway』:ヒリビリーキラーに飽きましたか?

 週末を湖畔の別荘で過ごす予定のタマラ。友人マディとブルックは先乗りして既に休みを満喫しているらしい。急ぎ車を走らせる彼女であったが、途中、ガス欠になり立ち往生。「こりゃツイてないなあ」と途方に暮れていたところに現れたのは、ヒゲとメガネの2人組みの青年。嫌らしい目つきでタマラを見る彼ら。しかし、あっさりとガソリンを分けてくれるのであった。

『Can’t Kill This』:レビュー ぶっ殺して下さい!生きる事に飽きました。

Josephine Scandi and Bill Hutchens in Fuck You Immortality (2019)

ジョーを殺せ!

 2人のヴィーガンヒッピー、トニーとケイシーは1976年の夏の日を忘れられずにいた。ヒッピーコミューンでジョーと出会ったからだ。彼はいつも笑顔だったが、憂いを帯びた雰囲気をもち、時折、カミソリを飲みこみ血塗れになるなど、体を張ったマジックを披露する不思議な男だった。

 ある日突然ジョーはコミューンから姿を消し、2人とって幻の男となっていた。しかし、彼らが老後生活を送っていたある日、新聞で巨大イノシシを狩った凄腕ハンターの一人としてジョーの姿を見つける。しかもあの頃と歳一つ変わらない風貌!!

 “あ!ジョーだ!もう一度彼に会いたい!”

『Eat Brains Love』:レビュー 〜モブ男とハニービーの血塗れ逃避行〜

Eat Brains Love (2019)

 もはやネタの出尽くし感がある“ゾンビウィルス禍”。劇症恐水病(もう狂犬病とは言わないんだよね?)として“ゾンビ”を再定義した『28日後…』は本当に罪深い映画だ。お陰で、今となっては“ゾンビ”というと、暴れ回り、人に噛みつくことで、仲間を増やし増殖する“何か”になってしまった感がある。それはさておき、本作のゾンビウイルスはSTD(Sexual Transmitted Disease)として描かれる。これまたどこかで観た設定だけど、ここで一つ捻りが加えてある。このゾンビウィルスの感染者は“感情の高ぶり”および“極度の空腹”によって、行動とともに顔面も凶暴化し人を襲うのだ。しかし、感情が平坦になる、あるいは空腹が満たされると元に戻り、見た目は普通の人間と変わらなくなる。ちなみに頭を破壊されない限り、怪我は人を喰うと治ってしまう。セックスでしか感染せず、噛まれても平気。だから大規模なパンデミックは起こらない。よって終末感はゼロ。じゃあ、この映画は何をやろうっていうのか?それは、ゾンビ版のボニー&クライドをやろうとしただけである。

『エスケープ・ルーム』 レビュー:陰惨な死と無縁な脱出ゲーム

Taylor Russell in Escape Room (2019)

解くか死ぬか。それだけだ。

 「脱出ゲーム?ああ、またか……」日本公開のアナウンスも無いし、海外評も凡庸。「テイキング・デボラ・ローガン」の監督といえども、「脱出ゲーム映画は『ソウ』でもうお腹いっぱいだわ」とスルーしていた作品。しれっと日本公開が決定し、試写嬢をいただいたので、ぶらりと足を運んで観てみたら、これがなかなか面白い。ごめん、俺が悪かったよ……。

Tyler Labine, Jay Ellis, Logan Miller, and Taylor Russell in Escape Room (2019)
なかなか捻った部屋が登場する。苦痛や人体破壊はないが、致死率は高い。

 6人の使い捨てキャラクターが数々のパズル部屋から、制限時間以内に脱出を試みるだけの話だ。脱出できなければ、もちろん死ぬ。しかし、その死はアッサリしたもので、人体が過剰に破壊されることもないし、苦痛も大して伴わない。(死ぬから苦しいことは苦しいのだが)そして全ての部屋から無事脱出できた暁には大金を手にできる。ツイストは一切無し。「命を無駄にしているから思い知らせてやる」だの「ヒントはやるから、考察はお前らでやれよな」と言った構図も記号も無い。 驚くほどシンプルなプロット。
  褒めてんのか、貶してんのか判らなくなってきたけど、「この映画楽しい?」と聞かれれば、僕は「楽しいよ」と答える。例えばね『ソウ』なんか観てると、最初のゲームが一番面白いでしょう?目玉のやら、腹を掻っ捌いて鍵を取り出せだの、体を切り落として重さを競えだのと。ところが後半になると変なツイストをかまそうとして、ゲームがどうでも良くなってしまう。『キューブ』もそうなんだけど、最初の罠と遊びのインパクトを活用することなく、「ほら。人間って、”アレ”でしょ?」という如何にもな着地点にむけて、急速に「遊び」の要素が縮小されてしまう。でも、これは決して悪いことではない。ずっと同じような脱出ゲームでは観客は飽きてしまうし、ヒネリも何も無い映画は作り手としても作家性の一つくらいは入れこみたいと思うものだからだ。その証拠に、この2作品の評価は(少なくとも一作目は)高い。
 ただ『ソウ』の最初のゲーム、『キューブ』の様な遊び……これらをずっと観てみたいと思ったことはないだろうか?それが『エスケープ・ルーム』なのだ。色々とギミックを凝らした部屋が次々登場し、飽きずに楽しめるから驚きだ。どんな部屋かはキモになるので書きませんが、残酷描写に拘らない創意工夫って大事だなあ・・・。

あくまで軽く

Logan Miller in Escape Room (2019)
苦痛の表現も最小限

 本当にツイストが無いのか?と言わればある。使い捨てキャラといえども、6人の個性付けには意味があるし、劇中登場する何気ない言葉が、ひょんな事に活用されていたり、ちょっとしたイタズラ心もある(たとえば脱出ゲームを主催する会社の名前がミノスである等)。しかし大きな意味は無く、物語上必須ではない。残酷描写についても前述のとおり、人体破壊や苦痛を感じる場面は皆無。(実はこれにも意味はアルのだけれども)とにかく軽いのである。これが評価の分かれ目だが、こんな軽さを持つ脱出ゲーム映画は、これまで有りそうで無かった。過剰な残酷描写や作家性を期待しなければ十分楽しめる。ただ、エンディングについては不満が残るかもしれない。海外盤BDでは別エンディングを観ることができる。僕は、この別エンディングの方が好みだ。

原題:Escape Room 2019年 米国 100分(IMDB
2.5/5