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死のロングウォークとバトルロワイヤルのいいとこ取り!こんな映画が観たかった!敗者の頭がドッカーンと大爆発!

作品データ

2013年 アメリカ 監督: ポール・ホフ 出演:エディ・マクギー、ポール・マッカーシー、テレジア・ロビン

レビュー

至ってシンプルでハードコアな椅子取りゲーム

肩足を失っている退役軍人エディは、気がつくと友人のジャスティンとともに見知らぬ土地に立っていた。周りを見渡すと多くの人が呆然とした顔で周囲を見回している。どうやら彼らも自分と同く状況が飲み込めていないらしい。そこにアナウンスが響く

勝者は1人
家、学校、刑務所は安全
道から外れると死
案内標識に逆らうと死
2周回遅れになると死
草に触ると死
競う か 死ぬか の勝負です

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突然、女の子の頭が爆発する。彼女は”道を外れて草にふれて”しまったのだ。先頭のメッセンジャー風の男が走り出す。エディとジャスティンもそれに続く。聾啞のカップル、歩行器便りの老人、女子高生、次々と後に続く。死のゲームが始まったのだ。

ルール違反者は豪快に頭が爆発する。仕組みは不明。彼らの外科手術やなんらかの装置を付けられた痕跡は無いが、違反者はとにかく頭がブッとんで死ぬ。しかも残人数はご丁寧にもアナウンスされる。なぜか聾啞の人間にも聞こえる音で・・つまりアレです。「……すか…、きこえますか……。いま…あなたの脳内に…直接…話しかけています……。いいですか…。残り人数は58人です……。」ってやつ。しかも、参加者の母国語に聞こえます・・・なんなんだこれ・・。

実はこのレース。別に走ることを矯正されてはいない。つまり全員立ち止まっていれば誰も死なないのである。そこで、エディ達は家に引きこもることを提案する。もちろん裏切り者によりそんな提案はもろくも崩れ去り・・。

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とことん殺る

老若男女80人を拉致。こんなゲームに強制参加させる。話を聞くだけでも胸が熱くなる映画も久しぶりだ。 何故・どうやって拉致されたかの説明は一切無し。さらに登場人物のバックボーンも一切無視。鬱陶しい恋愛エピソードや家族愛エピソードも徹底排除。それぞれの服装や状態(歩行器持ちのジジイ、聾唖、片足落ち)から彼らの背景を観客が想像するしかない。提示されるのは”彼らがこのゲームをいかに乗り切るか” のみ。非常にハードコアゲーム映画だ。

人物の背景エピソード無しというのはかなり斬新。実際は、冒頭に人物の説明エピソードが挿入されるのだが、まったく意味が無いことがその直後に示される。エピソード提示直後にその人物は死んでしまうのだ。要は「この映画は、コイツらの過去なんて知ったことではありません」という心意気の提示。

ボッカンボッカンと頭が破裂。裏切りや嫉妬で互いに殺し合いながら、死体がゴロゴロ転がる町内を黙々と周回し続けるのだ。

基本、本人のケアレスミスで勝手に自爆していくのが殆どだが、中でも聾啞の2人組のエピソードが笑える。このソリッドなシチュエーションに思わず欲情した聾啞男が「童貞のまま死にたくねぇ!」と聾啞女を鈍器で強打。気絶している間に一発カマそうとするが・・

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↑聾啞の2人組がとんでもない仲違いをし出す様は必見!

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↑案内無視してついつい祭壇に駆け寄るバカ神父、協力して次々と草むらに人々を放り込むチンピラなどなど「こんなの見たかった!」というシーンの連続である。みんなが大好きな妊婦さんも素敵な最後を迎えるよ!

この映画を作ったのは誰だー!?

監督のポール・ハフは、39歳の若手監督。「アメリカン・ゴシック」や「死霊の悪夢」そしてあのディズニー製作のマッタリ退屈ホラー「呪われた森」のジョン・ハフの息子である。なんだか懐かしいなぁ・・・。 中堅職人監督の息子故、やや七光りを感じなくも無いがヒールプロレスラーのエグい実情のドキュメンタリー「The Backyard」や短編「The Angel」は評価が高い。 実際「The Angel」は、良く出来た短編である。

ちなみに主演のエディ・マクギーは、監督と長年の相棒。片脚を無くした役を演じているが、彼は、脚を癌が原因で実際に足を切断している。「The Angel」で披露した松葉杖アクションは「The Human Race」でも見ることができる。

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↑非常に軽快な松葉杖さばき!!!

ネタバレ!!!

日本版DVDは2014年3月に発売されます。楽しみにしている人は見てはダメ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エディは遠くの山に天使のようなものがこちらの様子をうかがっていることに気が付く。実は異星人が「俺より強いヤツに合いに行く」的発想で、気ままに人間を拉致、他の惑星の似た環境に置き競わせて「強いヤツ」を選別していたのだ。

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↑天使に見えたのはこんな異星人。

生き残ったエディは、彼と真っ向勝負を挑む!ポール・ハフ先生の次回作にご期待ください!!!

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