出血大サービス!久しぶりのベッタベタのイントルーダースラッシャー!

作品情報

2011年 アメリカ
監督:アダム・ウィンガード
出演:シャーニー・ヴィンソン、AJ・ボーウェン、バーバラ・クランプトン、ラリー・フェッセンデン

レビュー

人里離れた家や屋敷にて家族や仲間たちと楽しく遊んでいるところに部外者が潜入、次々と殺人を犯していくという、昔ながらの筋立てのスラッシャー映画である。
この手の作品は、「侵入者もの」とも言い、ホラー映画のなかでサブジャンル化し、大量の名作珍作品を生み出してきた。その名もずばり「Intruder」(1989)というタイトルのスラッシャー映画(邦題は「処刑!血のしたたり」)もあるくらいだ。つまり、相当な工夫をしないと、一般の人はもちろん、ホラー好きの記憶に残れないという非常に作り手にはハードルが高いものとなる。

「サプライズ」どうか?これがビックリするほどベタベタな作品なのだ。のっけからキツめの殺害シーンを用意。タイトルコールが無い代わりに、窓に大きく原題の「YOU’RE NEXT」(次はお前だ!)と血文字で描きハッタリをかます。
スラッシャー映画にはハッタリが大切だ。たとえばジェイソンのホッケーマスク(最初はズタ袋を被っていたのだが)、フレディのケロイド顔、レザーフェイスの人皮マスク。さらに13日の金曜日の”キッキッキッ、マッマッマッ”という不気味な音楽、ハロウィンのミニマルテーマ曲といった具合。
これらには全くストーリー上、意味は無いのだが、ハッタリイメージにはもってこいのインパクトをもつ。「サプライズ」のっけからこれをオールクリアしてくる。爆音で流れるドゥワイト・トゥイリーのI’m Looking for Magic、殺人者の動物マスク。
冒頭の鮮烈なイメージを観客に残したまま、今回ターゲットとなる家族の人物紹介へ流れ、最初は仲良し一家に見える彼らだが、それぞれの思惑があり、あっという間に仲良し雰囲気は崩壊、動物マスクの殺人集団の襲撃へと怒濤の展開を迎える。

「スクリーム」(1996)以降、こういったスラッシャーに観られるベタ展開を逆利用しコメディ化してしまう大きな流れがあったが、「サプライズ」は、そんな捻くれることもなく淡々とオールドスクールな展開が続く。その上だれが?何のために?というサスペンス要素も含み、往年のスラッシャー映画の再体験を楽しませてくれるのだ。
スラッシャー映画にしては丁寧な脚本も好感が持てる。中でも最後まで生き残る女性、俗に言う「ラストガール」の設定が楽しい。13金をはじめとするスラッシャー映画ではラストガールは時折あり得ない運の強さや身体能力を発揮する。この部分で「サプライズ」はちょっとした工夫がなされている。それが露呈した段階では「はあ??」となるのだが、それまでの言動を顧みると「なるほど!」と思える旨さなのだ。

本作は徹頭徹尾、丁寧なストーリーテリングとそこかしこに散りばめたベタなハッタリで久しぶりの爽快スラッシャーとなっていた。めっちゃ丁寧に、丁寧に作った結果、あっさりと「侵入者もの」のもつハードルを乗り越えてしまっていたのだ。しかしこれは、玉石混淆のホラー映画がいかに石ばかりか?ということも示している。

思い返してみれば、「ソウ」や「ホステル」以降、極端なゴア描写と俗に言う「ソリッドシチュエーション」ばかりが持て囃されきた。そろそろPOVを経て、この久しぶりの良作「サプライズ」で、原点に立ち返る動きが出てくるのかもしれない。

また、冒頭で殺害される早漏オッサンにも注目したい。彼はラリー・フェッセンデン。制作、監督、編集、脚本、役者となんでもこなす才人である。本作ではただ殺される役だけであるが、インディーズ映画では才能のある監督を発掘することに余念が無く、”これは面白い!”と思える作品には大抵関わっている。本ブログで紹介した「Beneath」の監督を勤めているほか、「ゾンビ・ハネムーン」や「ステイクラインド」などの制作にも関わっている。「永遠のこどもたち」のリメイクにも携わっていたが、現在は降板しているとのこと。
ちなみに本作の監督、アダム・ウィンガードはじめとするスタッフ・キャストの一部は、「V/H/S」および「V/H/Sネクストステージ」でもチームを組んでいる。
バーバラ・クランプトンについては・・・まあ良い思い出なので特に何も言わないよ!

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事