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どす黒い「フォレスト・ガンプ」## 作品データ
2013年 スウェーデン 監督:フェリックス・ハーングレン

あらすじ

え、ホラー映画のレビューしかしないんじゃないの?って?いやいや、これはいいもんですよ。

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飼い猫を噛み殺したキツネを爆弾で吹き飛ばしたことから、老人ホームに収容されてしまった爺様、アラン。
彼は100歳の誕生日にふと思い立ち自室の窓からホームを脱出、フラフラとバス停までやってくると有り金であての無い旅へ出る……っと、その前にギャングの下っ端チンピラから闇金5000万クローナの大金が入ったスーツケースの見張りを任されるが、そこへバスが到着、”やむを得ん!”っとスーツケースを持ったままバスで旅立つアラン。そんなわけで、本人の知らぬところでチンピラと警察に追われることになるのだが・・。

感想

アランがスーツケースを携え、道中、様々な人々に出会いながら昔を振り返る構成で展開していく、所謂「フォレスト・ガンプ」構成。よって、日本版予告では、”感動"をウリにしている。しかし、実際はそんなモノとは全く無縁のいわば「どす黒いフォレスト・ガンプ」であった。原作の「窓から逃げた100歳老人」の背表紙で杉江松恋氏が「あれれ?しみじみとはほど遠い世界じゃないか」とコメントしているだけのことはある。

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このアラン、ノーベルの国に生まれた宿命なのか、爆弾大好きっ子なのである。この時点で既に可笑しいのだが、さらに母親の間際の際に「世の中なるようにしかならないから、考えずになすがままに生きろ!レリゴー!」といわれたことから、孤児になってからやりたい放題。レリゴー!レリゴー!と、そこいら中で爆弾をドッカンドッカン爆発させ、しまいにゃ人も爆発させたことから精神病院入り。そこで何故か「このチンコのでかさ!狂暴性!まちがいなく黒人の血が混じっている!」とキチガイの遺伝子を残さないようにと去勢される・・もうムチャクチャだ。

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こんなノリで淡々と深く考えないダダ滑り人生が華やかに語られ・・・大砲工場に就職したと思ったら、爆破テロリストに転身、次の瞬間には原爆開発にかかわり、酩酊している間にロシアスパイに拉致されスターリンに荷担・・・あれれ?なんてこった、アランの通った後には必ず死体の山が築かれている!だから100歳になっても、ただ当てもなく旅をしているだけなのに、次々と人が死ぬ。しかもかなり猟奇的に。そしてその死について、アランに疑いはかかることは無く、カンペキに隠蔽される。ダミアン・ソーンも真っ青である。

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原作のエピソードをかなり削ったようだが、必要十分。去勢された人格障害のアル中爆弾魔が人生をかけて死体の山を築き上げる話をここまで魅力的に仕上げたのには・・・うん、感動するわ・・。

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