「放送禁止」meetsリアリティTV

作品データ

2016年 アメリカ
監督: Jay Lender, Micah Wright
出演: Mia Faith, Kris Lemche, David Alpay, Carrie Genzel
->imdb

あらすじ

異国の地で物件を入手、新しい生活をエンジョイする様を放送するリアリティTV「House Hunters Global」今回のゲストは売れっ子アーティストのベッキーさん。プロサッカー選手のゴーランさんと同棲中だ。落ち着いた環境で陶芸を始めたいという彼女は、東欧の中心地モルドヴァの街外れの田舎町、パヴロッカにあるボロ家を契約する。

ベッキーさん パートナーのゴーランさん
(なんかダラしないです)
ベッキーさんが買った家 こんなボロ家を買うとかバカじゃね?
と新人スタッフのサラ

半年後。ベッキーのその後の生活を追うため、番組は再度現地にスタッフを送り込む。スタッフはカメラ担当のアレックス、音声担当のグレッグ、そして番組ホストのケイト、新米アシスタントのサラの4人。現地民の教会で行われている怪しい秘密儀式を隠し撮りしたり、つい100年前まで行われていたという魔女狩りをバカにして酒場で乱闘騒ぎをしたりと、現地民へのリスペクト一つ見せない失礼な態度を取り、問題を起こしまくる一行。加えて業界初仕事のサラの空気が読めない態度にケイトも激怒する始末。しかし、現地ガイドのヴラドミールがなんとか場を収めて、街外れのベッキー宅へ向かう。見違えるようなリノベーションを施した家に一行は驚嘆。パートナーのゴーランは、一人旅で不在とのことだが、楽しく撮影は進む。

綺麗に直された家 現地民とも仲直り

夜は町に戻り、現地民とも酒を飲み交わすことで仲直り。すべて順調と思われた撮影最終日。異変が起こる。
取材用車が何者か破壊されてしまったのだ。ヴラドミールが「助けを呼んでくる」と一人歩いて町に戻るが、帰ってくる気配が無い。暗くなった雰囲気を変えるために陶芸の窯の様子を見に行くサラとベッキー。するとそこには目を潰されたヴラドミールの無残な死体が磔にされていた。

ぶっ壊される車 憐れなヴラドミール

「一体どういうことだ!?」
そしてベッキーは、自分が現地民に魔女と疑われているのでは無いか?と語り出す。
街外れにすんでいて、教会に通わない一人暮らしの女。庭先に植えられたマンドレク、壁にペイントされたカエルの絵・・・やばいスゲェ魔女っぽい。もしや、現地民はベッキーを魔女だと勘違いしているのでは?気がつくと家の周りを現地民達が取り囲んでいた。一人外に出たケイトも無残に殺されてしまう。アレックスとグレッグは籠城を提案する。4人は地下室に籠もることにするのだが、そこには驚愕の事実が・・・。

内臓丸出しのケイトさん 『パラダイム』の浮浪者のように
ワラワラ寄ってくる現地民

レビュー

これはちょっと凄いです。リアリティーショーを導入部に、フジテレビの傑作深夜番組「放送禁止」のもつ“見切れ”“芸をとり入れくる。そして最後の種明かしには、強烈なゴア描写を伴う人体破壊を見せつけてくる。拷問、内臓、切株全てが詰め込まれたクライマックスのすさまじさ。年一本とは秀作POVが登場するが、その一本、今年は本作になるのではないか。とにかく見せ方が素晴らしい。東欧の美しい景色、隠し撮りなどのPOV独特の臨場感、意味深な小道具の数々。POVは、ただの静止画像を延々と流したり、肝心な場面をノイズで見えなくしたり視聴者にストレスを与える無駄な要素が多い。しかし、本作、まったく余計な部分も無い。ノイズで隠してもったいつけることもない。全てに意味がある。複数回視聴にも耐えうる傑作だ。

雄大な景色! 汚い枕!
大体後ろから見つめている住民達! 魔女っぽい色々!

調べてみれば、監督はカトゥーンTVでお馴染みの『ヘイ!アーノルド』と『スポンジ・ボブ』のアートディレクターと傑作FPSゲーム『コール・オブ・デューティ』のシナリオライターの協同名義。なるほど、ブラックユーモアと一人称視点ゲームの融合作品と考えれば、納得のデキだ。役者は有名所は出演していないが、ケイト役のキャリー・ゲンゼルは大作からインディーズ映画まで幅広い仕事を受けている無個性を絵に描いたようなバイプレーヤー。アレックス役にはファイナルデッドコースターで看板にペシャンコにされるクリス・レムシュ。10年前と変わらぬ落ち着きの無いアホな男を好演している。

怪しい壁画 追い詰められた4人は・・・

ネタバレ

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