映画|Butcher Boys|ブッチャー・ボーイズ

「悪魔のいけにえ」の脚本家キム・ヘンケルが脚本を書いた、アーバンな「悪魔のいけにえ」

作品データ

2012年 アメリカ
監督:デュアン・グレイブス、ジャスティン・ミークス
出演:アリ・フォークナー、トーリ・トンプキンス、エドウィン・ニール、ジョニー・ウォルター

レビュー

ざっくりあらすじ

テキサス州サン・アンドレアス、シシーと弟のマイキー、彼女の友人のケニー、そしてビッチな女バービーは、高級レストランでマイキーの17の誕生祝っていた。楽しく食事を終えた彼らであったが、帰り道でバービーがチンピラに喧嘩を売りカーチェイスをすることに。ブイブイと飛ばした挙げ句、チンピラ車は路肩に止めてあったギャング風の車にクラッシュ!シシー達はチンピラを振り切ることに成功するのであった。
しかし、チンピラ達がつっこんだ車は、なんと食人を生業とするギャングだったのだ!平謝りするチンピラを冷徹にズタズタにしたギャング連中は、仲間を総動員しシシー達を追跡、彼らも次々と血祭りに上げられていく・・・。
  
↑背骨折られて殴り殺されたり、生きたまま乳を噛み切られたりと大変!

わざとらしく濃い目のキャラクター

まず主人公一行。全員「そこそこ良い連中」なのだが、バービーだけが異様に浮いている。全員が「はやく逃げないと!」と慌ててる中、彼女人だけ「私は色仕掛けで乗り切る!」と豪語、あっさり拉致られてしまう。そして隙あらば「パコらせてやる」だの「お前ら全員シャブってやんよ!」だのとアンダーなネタで乗り切ろうと必死になるのだが、全てが相手の逆鱗に触れ酷い最後を遂げます。彼女のビッチっぷりはなかなかです。おかげで他の連中はキャラが薄くなっているのが悔やまれる。それでも「ぼ、僕17歳の誕生日なの!勘弁して!お願い!」と誕生日を盾に命乞いをするマイキーやシシーの絶叫フェイスは見応え十分。
  
↑色仕掛けが全く効かない連中い色仕掛けで挑んだ結果

逃げ惑うシシーを救う爺も凄い。マグナムを持ち全身に唐揚げ粉をまぶして登場、「これさえあればヤツラなんて怖くない」とマグナムを乱射しまくる。シシーが窮地になると何故か登場するヒーローなのだ!
  
↑この爺様が凄げぇ!

ギャングには、冷徹なイケメンマッチョ、坊主パンク、アンプヘッドという首に電気ショック首輪をした男、女装癖の爺様等々、見た目の個性に事欠かない。これま見てくれそのままの行動を起こす連中なので、期待のツラ構えで期待通りのことをやってくれる非常に気持ちがいいキャラクターが勢揃いである。
  
↑とにかく個性派揃いのブッチャー・ボーイズの皆様。しかもコイツら、すぐ仲間割れして殺し合いを始める低民度ファミリー。

元ネタ?

元ネタとされているのはジョナサン・スウィフトの「アイルランドの貧民の子供たちが両親及び国の負担となることを防ぎ、国家社会の有益なる存在たらしめるための穏健なる提案」(なげぇから単に”穏健なる提案”とも言われている)とされている。
これは18世紀のアイルランドの貧困・食糧事情に対する解決策としてジョナサンが発表した風刺文書。
内容ざっくりというと、”貧乏人にガキを生ませ、1歳児まで育ててさせた後、裕福層へ食料として売り払うとベターな世の中になるよね〜!赤ん坊は美味いし!間引きで人口増加に歯止めも掛かるし、貧乏という苦しみもガキのウチに死ねば味あわなくて済むし!おーるおっけー!ざっつおーる!”というものである。詳しくはWikipediaいくもよし青空文庫を読むもヨシ。冷静な提案文になっているとので、面白いよ!是非読んでネ。

「悪魔のいけにえ」完コピ?

冒頭大々的に”穏健なる提案”を引用している本作だが、ほとんど関係は無い。ただ食人を生業とするギャングに付け狙われる若者がトコトン酷い目に遭うだけの話である。(冒頭と終盤、レストランの外に肉食に反対するデモ集団がチラチラで登場したり、ギャングの生業が”食用人身売買”という設定はあるが殆ど生かされていない)
シシー以外の犠牲者一行をザクザクと始末してしまい早々と退場させ、前半は心ゆくまでシシーがヒィヒィと逃げ回る楽しい逃亡アクション(護身用に体に爆弾を巻き付け、走る爆弾娘となるのだ!)がメインとなる。そして後半、ギャングに拉致されてからは、例の・・椅子に拘束されたヒロインが、ちょっと頭が足りない男や、やたらハイテンションな男に散々いたぶられた挙げ句に大発狂・・・という「悪魔のいけにえ」完全コピーという具合だ。

  
↑お肉用の子供が産めるかアソコの具合チェックだのいろいろあるよ!

この後半部分、「悪魔のいけにえ」のキム・ヘンケルが脚本とはいえ、やり過ぎと思えるくらい流れが同じ。流れは同じなのですが、舞台が都心なだけにそのままというわけではない。こればかりは「見てくれ」としか言いようが無いのだが、たとえば逃げるシシーを追いかけるのはレザー・フェイスならぬアンプヘッド。通りすがりのオバチャンがシシーと助けようと駆け寄るがアンプヘッドの形相にドン引きして逃げ出すあたりなどはわかりやすいだろう。また突然、テンションの赴くまま取って付けたような銃撃戦やバズーカを使っての豪快な攻防戦も導入されるのですが、これはあまりにダイナミック過ぎて笑いがこみ上げるほどだ。

  
  
↑後半の異様なテンションは必見

マリリン・バーンズやビル・ジョンソン、エドウィン・ニールなど「悪魔のいけにえ」シリーズからの多数のキャストが出演している。もしかして、最近の「いけにえ」シリーズ復刻に気を良くしたキムさんが、自分で「悪魔のいけにえ」を作り直してみたくなったのかもしれない。残念ながら、ギャング連中の行動があまりにも適当過ぎる上、細々とした設定の説明不足から評価は低い映画だ。しかし、最近流行のアーバンなゴアスラッシャーをほどよく消化した作品ではあります。見て損はないよ!っていうか、配給権さっさと買ってね!今すぐで良いよ!!

  
↑頭頂から万力でヤキニク網を押しつけ、ニュルリと出てきた脳味噌を魚醤で喰うというパンチのあるゴア描写も

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