->imdb:Fronzen
やたらとテンションの高かったフリークススラッシャー「Hatchet」の監督、Adam Greenの手による、シチュエーションサスペンス。
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Review

ちょっとバカそうで普通の学生3人組、パーカーとその彼氏のダン、ダンの友達のジョーは、リフトの係員をチョロまかして、格安でリフトに乗っていた。

調子に乗った3人はナイターも滑ったろうかと、稼働停止直前にも関わらず

「吹雪になるから、ダメっつってんだろ?」

と止める係員にゴネまくって、最後のリフトに乗る。

しかし、係員がちょっと申し送りをいい加減にしてしまったため、3人はコース中腹上空にいるにも関わらず、リフトは稼働停止。
見事、置き去りにされてしまうのでした。

ウィークエンドのみの営業であるスキー場は、来週まで誰も来ることはない。
「寒い」・「腹減った」・「シッコしたい」という非常に身近であるが、切実な状況に追い込まれ、正常な判断力が失われていく。

ダンが自分が飛び降りて助けを呼ぶといい、リフトからダイブ。
圧雪斜面に足から着地したダンは、案の定骨折してしまう。しかも、骨見え見えの開放骨折。

しかもそこに、野生のオオカミがやってきて・・・・。

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「Hatchet」は、アホほどテンションが高く、そのまま80分弱を突っ走り文句を言わせない作品だったが、この「Forzen」は、シチュエーションが売りのサスペンスであり、かつ登場人物に少ないため、じっくりとキャラクターの背景を描き、心理描写も多く取り入れている。

このため、観客の理解を得ぬまま登場人物を片っ端から虐殺していた「Hatchet」とは、対極に位置する作品となっているのだ。
結果、どうか?

か っ た る い

ショボーン・・・。
90分じっくりやる内容でもない。だって、3人は普通の大学生なのです。
本当に何の裏設定もない学生さん。

実は高所恐怖症とか、過去にレイプされた経験があるとか、実はパラノイアな変態でしたとかそんな楽しげな設定はない。

だから、いくら極限状態になっても出てくる話は、誰しもありそうな昔話や与太話、それに愚痴。

「サーラックに食われて1000年かけて消化されるのは嫌だよな?」
「サメに生きたまま食われるのって嫌だよな?」(←実は複線)
「寒いところでのたばこの臭いって、おっちゃんの使用済みフロスの臭いだよな?」

とか、そんな会話どうでも良すぎて困る。
それが普遍的で良いという向きもいましょうが、さすがにそこを濃厚に描かれても困る。
これなら「Hatchet」同様、正味60分でどうにかなるお話なのです。

要は、トワイライトゾーンの1エピソードを劇場用に引き延ばしたような作品。

1.いかにもな理由でスキー場のリフトに取り残される
2.なんらかの困難を設定する
3.どうにかリフトから降りる

この3つを軸に複数監督に競作させたら、面白くなりそうなネタなんだけどなぁ。

ここでAdam Greenさんは、この「2.」にオオカミを入れてしまった。
これまた微妙な選択なのですなー。リフトに取り残された状態が怖いのか、単にオオカミが怖いのかどっちつかずのピンボケ状態。

ただ

「友達が断末魔の悲鳴をあげながら、オオカミに生きたままモフモフ喰われるのを、ただ耳を塞ぎ眺める。」

という場面だけは最高です。

言ってしまうと、この映画、とみさわ昭仁さんの著作「人食い映画祭」に載っていても
おかしくないような、人食い映画。

なので、そっちが好きな人には、おすすめしたい一品。

以下余談。

※実はこの映画で一番怖いのは、日本版公式HPのバグ。(意図的かも)
 公式では、リフトにカーソルを合わせると「ガチャーン!」という音とともに
 リフトが停止し、各コンテンツにアクセスできるようになるのだが、これを
 何回も繰り返していると、リフトが寸詰まりになったり変なところに現れたりと
 なんだか怖い壊れ方をします。 友人に言われて、やってみたのですが
 何らかのタイミング本当に壊れます。

※渋谷シネクイントは、くそ寒い。

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