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「俺は神なんか信じていない」
「神も君らのことは信じていないさ」
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Review

ポール・ベタニーが天使ミカエルを演じているとくらいしか売りがなさそうに見えた本作。
実は、ストーリーの要になる妊婦役のエイドリアンヌ・パリッキ以外は脇を固めている役者も堅実で、安心して楽しめる(が、少し退屈で血と違和感がやや多い)ファンタジーでした。

ある夜、天使ミカエルが天から墜ちてきた。
(ミカエルっつっても、アレだ。Michaelなので、発音は普通にマイケルです)

人間を見限った神が放った人類を滅ぼそうとする神の軍隊を止めるため、そして人類の救世主となる子供を孕んだ、田舎のダイナー"Paradise Falls"のビッチウェイトレス、チャーリーとその子供を救うためだ。

ダイナーParadise Fallsには、妊婦のチャーリーのほか、自分の子を妊娠しているでもないのにチャーリーの面倒を献身的に見ている青年ジープ、うだつの上がらないジープを気にかける親父ボブ、料理人のパーシー、道に迷い電話を借りにダイナーに立ち寄ったカイル、そして車が故障したためたまたま通りがかった、ハワード、サンドラ、オードリー3人の親子連れがいた。

そこに、突然車で現れたのは、なぜか蠅がたかっているババァwith歩行器

レアステーキを注文し、モフモフ喰いつつ、チャーリーに向かって
「おまえのガキは、地獄に堕ちるよ!」
っと、細木数子のようなことを口走り、襲いかかってきたのだ!

ババァを何とか撃ち殺すが、ハワードが喉を嚙み切られ大けがを負ってしまう。

急ぎ隣町の病院まで運ぼうとするも、空一面を覆い尽くす蠅の群れにUターンを余儀なくされる。

途方に暮れるダイナー一行の前に多数の重火器で武装した天使様ミカエルがやってきて、

「俺の名前はマイケル(ミカエル)チャーリーの子は、救世主。それを守るためにきた。これから神の軍隊が襲いかかってくる。子が生まれるまで、ここに立てこもり戦うのだ!」

明らかに様子のおかしいことを口走るが、先のキチガイババァの件もあり、あっさり信じる一行。

そして天使に憑依され、凶暴化した人間の群れがダイナーに押し寄せてくるのであった。

導入部はこんな感じで、立てこもりホラーアクションを大期待してしまう。
実際、アイスクリーム屋(手足が伸びる)、包丁かかえた幼児・幼女を片っ端から撃ち殺していく不謹慎一大アクションシーンがあるのだが、それもすぐ終わってしまい、基本的にはうだつの上がらないジープ、ボブのダイナー親子の”人生後悔ばかりだぜ!”トークと、ミカエル様の”人間ってアホだけど、俺は好きなんだぜ!”トークがほとんどを占める。


↑例のアイスクリーム屋

蠅の大群や憑依された人間がワラワラやってくるあたりは、おお「レギオン」(レギオンの意味は、マルコ福音書あたりを読むと出てきます。めんどくさい場合は「エクソシスト3」でも言及されますのでそちらをどうぞ)だね!って思いますが、ダラダラと無駄に殺されにくるだけで、なんだか軽い。

また、大天使ミカエル様は聖書の設定上(聖書じゃないけど、失楽園あたりを読むと解ります)、人間に対する憐憫が厚い。しかしながら
カッペのダイナーの息子をして

「おまえは誰とも知らぬ子を宿した、アバズレウェイトレスの面倒をよく見ているから、すげー良いよな!おまえこそ救世主!!!」

とか抜かすあたり、えぇ?なにその軽い感じ?島田紳助の感動くらい軽いわ!!
と思いつつ

なんだか細かくね?天使って、細かいところ見てるんだね!!!結構暇なんじゃね?

という、しょーもない突っ込みを入れたくなる。
軽さは言葉だけにとどまらず、次々とあっさり死んでいくダイナー一行。
いやぁ、軽い軽い、世界が危機に瀕していると伝えるラジオ放送も軽い。

超軽量な終末。

人間爆弾にされるハワードさんと、それで溶けちゃうチャールズ・S・ダットン(おまえさん、いっつもそんな役回りだな)は、ちょっと良かったけど。

また、ラスボスとして登場するガブリエルとの男色を思わせる演出が、801属性の向きにはタマランかと思います。ミカエルがガブリエルの頬に手を置き「もういい、もう十分なんだ。こんなことやめよう・・。」っと。
端正なポール・ベタニーと暑苦しいケヴィン・デュランドの抱擁シーン。

どうしたいんだよ!何が狙いなんだよ!俺は、おもしろくねぇぞ!
(隣で見ていた嫁は「オラオラ、はよ、キスしろよ!」言っていたが。)

カッペダイナーに舞い降りたミカエル様も相当アレなのだが、ミカエルとタイマンは張りに降りてくるガブリエルの絵も相当アレ。黒い翼に甲冑にトゲトゲハンマー。なんと言っていいのか解らない違和感。

あれ・・?でもこの映画、実はオールマイティな要素詰まってるんじゃね?
ホラー要素ソコソコ、アクションもソコソコ、ベタニーファンへのサービスも盛り。
かわいいネーチャンもオバチャンも、ナイスミドルなオッサンも足りないものは何もない!

しかし・・・。

おかしい。だけど何かが足りない・・。
足りないんだけど、足りないものがなんだかわからない。そんな不思議な映画。

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↑宇宙戦争のトライポッド起動音のような音とともに登場するガブリエル様

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