「水が欲しい!もっと若い水が!」火星にまできて細菌(ゾンビ)パニックだよ!

作品情報

2013年 アメリカ
監督:ルエアリ・ロビンソン
出演:リエフ・シュライバー、ロモーラ・ガレイ、エリアス・コティーズ、オリビア・ウィリアムズ

レビュー

久しぶりの火星探検もの

火星生物資源探索プロジェクト、オーロラ・プロジェクトは何の成果を上げることが出来ないままプロジェクト完了まで残り19時間となっていた。8人の研究員は、狭っ苦しいベースキャンプに半年間押し込められた上、何の成果も上げられない日々にストレスが溜まり精神も限界だった。
  
しかし、研究員のマルコはひっそりとバクテリアの存在を探し当てており、抜け駆けしてサンプル採取を行おうと仲間のハリントンとバクテリア採取に出かける。
一方、基地に残っていたヴィンセント、レベッカ、キム、チャールズ、アーウィン、ダルビーはマルコの隠し資料を発見、生物の存在を隠していたことを知り「あのハゲ、抜け駆けしやがって!」と激怒。マルコの後を追う。ところが、現場には唖然とした表情のハリントンが残されていた。マルコはバクテリア採取には成功したものの突然現れた地割れに落ちてしまったのだ。リーダーのチャールズは、チーム全員でマルコの捜索に向かうことを決定するも探索中、ダルビーが行方不明になる。「こりゃ、どういうこった!」捜索を切り上げ、基地に戻るチャールズたち。
特に策も無いまま、迎えの着陸船を待つ彼ら。そこに宇宙服に穴が空いた状態でマルコと、ダルビーが舞い戻ってくる・・・。

干からびゾンビ

  
舞い戻ってきたマルコとダルビーは、干からびたゾンビとなっており猛烈な凶暴性をみせる。人格は存在せず非常に屈強で動きも速く、水を欲する。そのゾンビ化は直接接触にて行われ、感染力が強く触られたらアウト。とりあえず頭を破壊すれば動きを止めるが、やたら堅い。無言で基地を破壊しながら残った研究員達を次々と襲うのだ。

陰鬱とした人間達

  
高難易度の激堅ゾンビに立ち向かうのは、曲者揃いの研究者たち。みんな暗くネガティブ。主人公のヴィンセントも過去に宇宙空間で窒息しかけたPTSDに悩まされ、キムはヒステリックすぎ、レベッカは火星の乾いた風景に嫌気がさし青い空と緑の草木の幻想を描く、アーウィンは引っ込み思案で、ダルビーは人の欠点探しばかりする・・といった具合。こういう連中が窒息や感染の恐怖といった窮地に陥ったときの見苦しいエゴをさらけ出すところが見所となる。

地味で堅実だが・・

  
監督はルエアリ・ロビンソン。可愛いロボットBlinkyが突如として殺戮マシーンと化す短編「Blinky TM」が印象的だった彼。「Blinky TM」は、短編であるあためか、細かいイメージの積み重ねで、裏で迎えているであろう終末や人間関係を醸す独特な作風であった。
しかし、本作は彼自身が脚本に関わっていないためか、前半ゆっくりと丁寧に人物を描き、後半その人物がそれぞれの個性で行動するというシンプルで堅実な構成。ゴア描写は殆ど無し。電気ドリルを腹にズボズボ突き刺したりする程度だ。ゾンビの造形は「エル・ゾンビ」で見られたようなミイラ系で何となくスペーシーな感じがするが、最近の止まることないゴアゴアゾンビに見慣れた向きには物足りなさを感いじるかもしれない。
かなり生真面目につくられた映画なので、あんまり面白い事は書けない。それだけ堅実な作品なのだ。しかし、時折見せるハイセンスな流血描写や息の詰まる絵作りは見て損は無い。

トレイラー

参考:「Blinky TM」

Blinky™ from Ruairi Robinson on Vimeo.

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