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ラリって電波受信したら強制的にブラクラを見せられるという、ぶっ飛んだPOV。

作品情報

2013年 アメリカ 監督:ブレア・エリクソン 出演:テッド・レヴィン、カティア・ウィンター、マイケル・マクミラン

レビュー

警告!ファウンド・フッテージです!

毎年”POV地獄変201X”というシリーズでも書こうか!と思うほど氾濫しまくっているファウンド・フッテージ映画。酔うわ目は疲れるわの手持ちのブレブレカメラワーク。意味ありげで実は全く意味が無い投げっぱなしの伏線が張られまくった、ハッタリで安直な作品ばかりで埋め尽くされたこのジャンルを毛嫌いしている向きも多いだろう。

最初に言ってしまうと「Banshee Chapter」はその例に漏れず、典型的なPOV的な展開を見せる。行方不明の友人の消息を探っていくうちに、ミイラ取りがミイラにあるいつものパターンである。 しかし「バンシー・チャプター」は、予告編から受けるいつものPOV映画ではなく、フェイクドキュメンタリーに近いフォーマットで展開していく。要はディスカバリー・チャンネルやヒストリーチャンネルに多く観られる、検証VTRや当時の記録映像を元にホストが解説していくスタイル。

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ジェームズと名乗る男がMK-ULTRAと呼ばれる政府が秘密裏に作成したドラッグを服用する様子が録画されたフッテージから始まる。MK-ULTRAはマインドコントロール用の特殊薬品であると噂されている。服用後、何も変化が無いように見えたジェームズだったが、突然画像が乱れ、血まみれのジェームズが一瞬映し出され動画は終わる。ジェームズは行方不明のままとなってているわけだが、そこで彼の親友アンナがジェームズが失踪に至るまでの経緯や薬品の起源や政府が行っていた実験の調査を経て真実に迫るというのが大筋だ。

ベタなPOVなのは冒頭のみで、以降は伝統的撮影手法に切り替わり、前述の通りアンナを語り部とした「ドキュメンタリー映画」として展開する。とは言っても、アンナ自身は撮影していないし撮影班もいないのだが、基本的なカメラワークはPOVそのもの。ファウンド・フッテージ部分と実際のドキュメント部分の境目が非常に曖昧であり、非常にピンボケした・・・いわば夢を見ているかのような印象。

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↑ピンボケ具合を引き締めるテッド・レヴィン

精神的ブラクラで埋め尽くす

冒頭のジェームズが写ったフッテージは予想以上に強烈。この映像が一昔前の精神的ブラクラ(視聴者に精神的ダメージを与えるような画像や映像、音声、Webページ)にそっくりなのだ。「ブラクラとなんぞ?」という方々にとっても、今更感溢れる映像なのだが、映画として提示されると今更でも驚いてしまうのだ!悔しい!ビクンッビクンッ

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↑あーみたわー、どこかでみたわー。でも驚くわー!

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↑なにがどうして、こう言うモノがでてくるのかは、まったくもって不明

最後の最後までインパクトのあるブラクラ映像を流しまくる一本気な驚かせ方が秀逸。タイミングが絶妙なんですね、ほんとに。

POVは限界なのか

POVという手法が一般化してしまった以上、結局のことなんでもアイディア次第なのは間違いない。「V/H/S」のようにコンセプト重視にしたり、「クロニクル」のような飛び道具的なカメラの使い方などもあろうが、元祖の「食人族」やPOV復活の書きとなった「ブレアウィッチ・プロジェクト」のようなやり方はもう飽きられており、限界が来ていると考えていいだろう。 「Banshee Chanpter」は、ストーリーからもPOVである必要は無い。しかし、あえて本作がこの方式を採用したのは単に前出のブラクラテイストを出したいためだ。つまり「POVならなんとかなる」のではなく「POVである必要があった」といえる。面白い・面白くないはさておき、Banshee Chapterは正しいPOVと言えるだろう。え、お前はどう思うか?って?ここに載せるんだから当然、面白いと思ってるよ!

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↑みんな大好き、怪しい実験。脳味噌ほじるよ!

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