Pledge | プレッジ

ヘイジングという極悪文化をトーチャーポルノに

 大学という場所はやりたい放題できる場所であり、その反面やりたいことがはっきりしていなかったり、所謂コミュ障であったりすると、目標を見失い、孤立し、学生生活はどん詰まりとなる。学生が自殺する理由は大概、そんなどん詰まりが原因だ。とある北関東にある陸の孤島で有名な大学の自殺率が高いのも、それが起因といわれる”つくばシンドローム”(あ、言っちゃった)が理由だったと言われる。一応フォローしておくと、最近は交通の便が良くなったせいか、他の大学と同程度に自殺率は下がっているとのこと。

 『Pledge』は、学生達がお互いに繋がりを持つために重要となるフラタニティ、ソロリティの新人イジメを題材にした、サスペンストーチャーポルノだ。これらグループは、何故か排他的でそのグループに入るためには、殆どイジメともいえる課題乗り越えなければならない……お化け屋敷で一晩過ごせだの、ニワトリと一ヶ月暮らせだの……という所謂、新人イジメ(ヘイジング)だ。

 しかし、本作の主人公はそれ以前の問題で、どこのフラタニティからも”おことわり”されている、キョロ充、デブ、根暗3人組。パーティの時間は嘘を教えられ、無理矢理仲間に入ろうと、寮に乗り込めば”お前らはキメェからダメ”と言われる始末。さて困ったというところに現れたのは、怪しい女。

如何にも相手にされなさそうな3人

「今夜、パーティがあるからきなよ!」

といわれ、ホイホイ付いていく3人。山奥深くの屋敷に辿り着くと、そこは色っぽいネーチャンに、シュッとしたイケメンがワイワイと騒いでいるではないか!場違い感は否めないが、ウェルカムな雰囲気に大はしゃぎの3人。気絶するまで飲み明かした3人にイケメンが「おまえら、いけてんな!ウチのフラタニティに入りなよ!入寮の儀式を今晩やるから、お泊まりの用意してきて!」と爽やかに告げる。

ネズミの死体を生でミキサーにかけたペーストを頬張る

 これまたホイホイとお泊まりグッズをそろえて、ルンルン笑顔で夜やってきた3人を待ち受けていたのは、壮絶なゼロサムヘイジングゲームだった……・

 大筋は女性に誘惑された男が酷い目に遭うというのは、トーチャーポルノの王道を築いた『ホステル』(06)と同じ。しかし素直なトーチャーポルノではなく、ある程度のツイストが効いた作品だ。実はホスト側にも、それなりに事情がありヘイジングを行っているのだ。これがちょっと創造を超えているので、そこが見所となる。

化膿した焼き印

 拷問描写は焼き印程度であとはナイフによる殺傷程度。それ故、若干のリアリティがある。それよりも、鳥の死骸をミキサーにかけたものを飲ませるシーンが最高にブルータル。吐き気満載で描かれる。

バケツの中にはハム太郎がはいっており、それを火で炙っております。

 そういえばパーティのサントラにSURVIVEの「Hourglass」が使われていました。『ザ・ゲスト』でも使われている曲だ。ちなみにSURVIVEのメンバーであるカイル・ディクソンは『ストレンジャー・シングス』のサントラも担当している。言わば80sサウンド職人である。さらに『ストレンジャー・シングス』のOP曲は『オンリー・ゴッド』の「Wanna Fight」と似ている似ていないでNMEが騒いでいたことを思い出した。NMEのクセにNew Retroの時流をガン無視した記事にゲンナリした想い出の曲だ。

 (2019年4月22日鑑賞 ★★★☆☆)

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