2012年 アメリカ アベ・レヴィ、シルヴァー・トゥリー監督
町長の息子をハンティング中に誤射し殺してしまった兄弟が、町長一派の報復マンハントからヒーヒー言いながら逃げ回るよ!

レビュー

これはホラーではないんですけど、ヒルビリー物によくみられる田舎のいやーな雰囲気が良く出ている作品だったのでご紹介。
 
仲良し兄弟ネイトとスカイラーは楽しくハンティング。しかし、獲物と思って撃ち殺したのは町長キャバノーの息子ディックだった。ネイトとスカイラーの親父はなんと保安官のブルーム。実際、銃を撃ったのはネイトなのだが、なぜかスカイラーはネイトをかばい留置所へ。なんとか穏便にすまそうとブルームは画策するのだが、町長の一家の権力は大きく、スカイラーは護送され裁かれることになってしまします。
 
↑弟が大変なことになるのに、兄貴はのんきに彼女と乳繰り合ったりしてますが。。

ネイトは自分をかばったスカイラーを放っておくわけにもいかず護送車を襲い、弟とともに脱走。息子達の無茶な行動に頭を抱えるブルームですが、一方でキャバノー一家が銃を手にこの際、兄弟を撃ち殺そうとマンハントを開始するのでした。
 

切り株も何も出ない映画ですが、田舎の有力者が好き放題やって、平気で銃を人に向けてバンバン撃ってのけ、普段から頭の上にバドワイザー缶を載せて、それを狙った射撃遊びやったり、兄弟を撃とうとして身内を誤射してもドンマイ!で済ますようなハンティング至上主義の町。その「相変わらずメリケンの田舎者は怖いぜ!」という趣が何とも言えない。さらにキャバノー一家は、とにかく数が多い。しかもたちの悪い連中ばかり。

 
↑保安官助手もキャノバーさん、地元のチンピラもキャバノーさん。
とにかくどこに行ってもキャバノーさん。兄弟も本気で対応しますが、数はかなわないし、保安官ですら逆らえないという状態。ほんと田舎はクソですね。ブルーム、息子達をさとそうと必死に追跡するんですけど、キャバノー一派に妨害されてどうにもらない。膠着状態に登場人物全員がブチ切れて、なんとも救いようのない展開になっていくわけです。

 
 
こんなドン詰まりストーリーをネオアコカントリーなノホホンとした曲に乗せ、スローモーションを多用し描くダルなサスペンス。兄弟のパッとしない見た目も手伝って、非常に感情移入しやすく、見た目の地味さからは予想できないくらい物語に没頭できる。あと若い男2人が手錠で繋がれたままバタバタ逃げ回る様は「そっちの層」にもウケがいいような気もします。
キャストについては、若手はTV俳優がメインですが、シニア組がブルーム役にテッド・レヴィン、町長キャバノー役マイケル・ボーウェンと要は「知らないんだけど、なんか見た事ある役者」が多数出演しており、普段のバイプレーヤーっぷりを解放するかのように渋い芝居をしていてこれも楽しい。特にテッド・レヴィンがジリジリをキレていく様はなかなかのものです。
 

たまには、落ち着いたサスペンスもいいもんですねぇ。

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