ホントに病んでる病んだ未来。

あらすじ

セレブの体から取り出したウィルスを培養し希望者に感染させるサービスを提供しているルーカスクリニック。ウィルスにはコピープロテクトが施してあり、簡単には持ち出したり培養したりできないようになっているのだが、セールスマンのシドは、契約したセレブからウイルスを受け取ると同時に自分にも感染させ横流ししていた。横流し先はセレブの組織を培養した人工肉を販売する肉屋の親父。シドは親父からの依頼で”完璧なセレブ”であるハンナから体よく新型ウィルスをいつも通り自分自身に感染支えて盗むことに成功するのだが、実はそのウィルスは致命的な品種で死ぬかもしれない事態に。”完璧セレブ”のウィルス保菌者であるシドは、肉屋のオッサンがリークしたおかげで闇のウィルス流通組織からも、ルーカスクリニックからも、その自身のウィルス目的で狙われる事になってしまう。血反吐を吐きながら自分とハンナの治療方法を探すシドであったが・・。

感想

何らかの外部要因による思わぬ肉体変化を描くのは初期デビッド・クローネンバーグの真骨頂であったわけですが、このストーリーを読むと息子のブランドンも同じ枠でのキャリアスタートを切ったかのように見える。しかし共通点というのは、ド変態的なプロットとカナダの寒々とした風景くらい。
あらすじにシレーっと書きましたけど、有名人と同じ病気になったり有名人の組織を培養した人工肉を食ったりするのがスタンダードな世界って、とんでもないですな!
で、本作。デビッドが多用していた極端な人体変容や破壊描写は無い。逆に白い部屋と多くの空間を残したキューブリック的な構図やブリブリのシンセベースの音楽は小綺麗でおしゃれ。真っ白い空間にはき出される血反吐が描く放物線は何か前衛絵画のようでもある。


↑異様に空間が多い構図。それから人工肉。

さらにその中でシド役のケイレブ・ランドリー・ジョーズは長髪を後ろに纏めガリガリの体でマシーンのような鋭い目つきで非常に雰囲気にマッチしていて素晴らしい。役者については、他にマルコム・マクドウェルが
ブランドンは、デビューに当たって親父パワーに頼っていそうだが、ちゃんと5年前からトロント映画祭に出展し、資金集めに奔走してたそう。親子で同じ職業ってのは色々と気を遣いそうでたいへんですねぇ。また、本作では多くを初期短編作品からのイメージ流用がなされているらしい。
日本公開されるとの事なので、ネタバレは控えますが、親父の作品が超自然的な方面に落としがちであったのに対し、息子の方はキッチリとサスペンス映画として落としてくれます。ちょっとおしゃれ過ぎるのが気になるので、次は恋愛映画あたり撮っちゃそうだなあ。

↑ウィルスの調整兼コピープロテクトシステム。「顔面はとってもコンディション判定に使いやすい!」っとのことで、システムが状態を人の顔の歪みとして表示しそれを調整するのです


↑なにかオシャレ


↑ラース・フォン・トリアーみたいなタイトル、あなたもセレブと同じヘルペスになろう!の広告、シドが観る謎の幻覚

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